2001年11月13日
代表の挨拶 村上琢磨 |
---|
「技術」としてのガイドヘルプと「しろがめ」の役割
重度視覚障害者ガイドヘルパー(GH)派遣制度が発足して以来、 GHは視覚 障害者の生活に大いに貢献して来ました。 私たち しろがめ の主たる活動は、視覚障害のための合理的なガイドヘルプ「技術」 を獲得したGHを実際に世の中に送り出すことです。 しろがめ では、各種講習会を実施し、失明の初心者、はじめてガイドヘルプを受 ける方にも安全で快適なガイドヘルプを供給できるように、合理的なガイド技術をお教えしています。
何年も自宅に閉じこもっていた視覚障害者が、すばらしいGHさんに出会ってからは外出が楽しみになった、という明るい話題をよく聞きますが、その反面、GHが一緒についていながら、歩行中や交通機関の利用中に様々な事故が発生していることもまた事実で、問題はいろいろ生じているのだが、マスコミに取り上げられることもなく、顕在化していないというのが現状です。それまで家族とだけ外出していた視覚障害者がベテランのGHと外出したところ危険な目に遭い、恐怖を味わされ、二度とGHを利用したくなくなった、という例もあります。これは、GH個人の性格や能力に原因があるというよりも、GH技術の未熟によるものというべきです。これはGH養成プログラムに問題があると考えられます。つまりGH養成プログラムが不十分であったり、不適切であったりしたために、GHとして必要な知識・技術を十分に習得できなかった受講者を、実際のGH活動に送り出してしまったためです。このような場合、危険や事故にあった視覚障害者はもちろん、GHもまた被害者で あるといえます。GH養成プログラムは、実際のGH活動の基礎となるもので責任のある重要な存在であることを 認識していただきたいと思います。
GH利用者(視覚障害者)を大別すると、視覚障害なりのベテランと初心者に大別されます。ベテランとは失明後しばらくたっていて、慣れた町なら一人歩きでき、かつ、自己の安全を白杖などで確保できる場合で、それに対して失明してまだ間もなくて、失明状態になれておらず、気心の知れた家族との外出でさえも不安を持つ人が初心者です。既存のGH養成プログラムは、ベテランの視覚障害者を対象にしている場合が多いようです。GHを二度と利用したくないという恐怖経験をした人の話を聞きますと、そのときのGHは失明の初心者に対して、ベテランの視覚障害者に対するのと同じ対応をしたということが分かります。しろがめ では、失明の初心者でも安全に誘導できるGH技術を伝授しています。
しろがめ方式は、過去30年の経験を元に、事故の可能性を芽のうちに摘み取るべ く研究開発された誘導方式ですが、どのような方式でも、もしも事故が生じたらそれを顕在化し、事故原因を分析し、その対策をGH養成プログラムに盛り込み技術の信頼性をより高いものにしていくことが必要です。世の中には、しろがめ方式以外にもいろいろな方式があり。 かなり自己流のGH、場当たり的なGHが流布しており、現実にはほとんどGH技術を持っていないのに実際にGHの仕事をしてしまい、事故を起こしている例もありますが個々の利用がいろいろな例を比較していくのは困難です。 そこで、このホームページを通して世の中を知り、しろがめ方式のすばらしさを知っ ていただきたいと思います。 GHを利用している視覚障害の方々は、GH利用中に発生した事故を、 積極的に自治体などのGH派遣元にフィードバックして改善を求める共に、この しろがめ のホームページ(HP)にもお知らせください。 また、GH自身も事故を派遣元に知らせると共に、本HPにも知らせて下さい。 データの蓄積が世の中を変えていきます。 我々も、現在の技術が最終の形と思っているわけではありません。 これからも、改善すべきところがあれば改善していきたいと望んでいますし、 これまで開発したガイド養成プログラムの検証も休まず重ねてきています。
しろがめ の主たる活動はGH技術の研鑚と伝授ですが、その他視覚障害者のための支 援活動もおこなっています。 コアメンバーは、この道30年のガイドヘルプの専門家を中心にしたプロ集団で、そ のほかに 視覚障害者のためのハイテク機器を研究開発している工学者、そして視覚障害者が 加わっています。 しろがめ では視覚障害者の福祉に関する調査研究を行い、その自立生活に役立つ情報提供もしております。 しろがめ を通して、助け合いの機会を広げて行きましょう。 |